巷にあらゆる種類のカードがあふれています。ショッピングモールやスーパー、娯楽施設、小売店などクレジットカード会社と提携したメンバーズカードが何枚も財布に入っているという方も少なくないと思います。
そのメンバーズカードに入会したきっかけというのは人それぞれだと思います。最近ではインターネット上で入会キャンペーン情報を見て、オンライン上で申込を済ませ入会するケースも多いでしょう。
しかし実際にお店に行き、その場に居たカード入会促進キャンペーン専門スタッフに促されて入会を決めるパターンも依然として多いと思います。
私自身、大学生の頃から上記の専門スタッフの仕事をアルバイトで初め、4,5年程経験させて頂きました。その経験の中で失敗や成功を繰り返し、社会人として生きていくために必要な事を色々と学びました。
今回は、その中で得られた特に大きな気付きについてお話し致します。
頭の切り替えを意識的に行う
通常、入会促進のアルバイトの勤務時間はそのお店のピーク時間帯も含めた8時間勤務がほとんどです。その為、お店ごとの来店客数にも依りますが1店舗3名のスタッフが稼働していると仮定しても、一人当たり1日30人~50人、多いときで100人以上のお客様に声掛けを行うことになります。ショッピングモール等の通行の流れが激しいところでは、最初の呼びかけだけでも相当の数をこなす事になります。そうなると人間ですので、どうしても途中で声掛けやお客様への説明が機械的に流れ作業のような意識で行ってしまう事があります。
説明が機械的 -> お客様の心に響かない -> 話を聞いてもらえる機会が少なくなる -> モチベーションが下がる -> 説明の仕方が更に機械的になる
上記のような悪循環に陥らないためにも頭の切り替えを意識的に行う事が大切だと気づきます。
この意識的にというのが最初慣れない内は、声掛けの前にお客様の属性を一段階掘り下げる作業を行うと良いと思います。
仮にドラッグストアーのお昼の店内を想定すると、年配の女性や子供連れの主婦等が客層として考えられます。もし何も考えずに声掛けしようとすると、単にお客様の属性を「年配の女性」「若い女性」位で無意識的に考え、その2種類の人に声をかけるという意識になり、声掛けの口調や雰囲気の幅もそれ相応に狭くなります。そこで、もう一工夫として、同じ年配の女性でも「手提げ袋を下げた年配の女性」、「おしゃれなメガネをかけて髪を紫に染めた年配の女性」「早歩きで気難しそうな年配の女性」などという様に、属性を肉付けして意識することで、この人にはこのような口調で話をしてみようとか、こんな雰囲気で声掛けしてみようとか、あれこれ考える事ができるようになり、結果的に説明の仕方が機械的ではなく、人間的なものになります。
常に人に見られている意識、見られてもいい意識を持つ
カード促進スタッフがお相手するのは何も目の前で接客しているお客様だけとは限りません。まさにその接客している最中にも他のお客様はスタッフとお客様のやり取りの雰囲気を何気なく見ています。更に、スタッフ同士がたとえ仕事の話でお互い近づいてお話をしていても、お客様からみれば、単におしゃべりをして怠けていると捉えられてしまうことも多々あります。そうすると折角カード自体には興味を持ってくれる可能性のあるお客様を逃してしまう機会損失にもつながります。
私が現場に出ていたころに特に意識していたのは、当日仕事をする場所の最寄駅を降りたった時点で誰に見られてもいいような振る舞いを心掛けていました。就業時間開始直後でも店舗のバックヤードから店内に入る瞬間でもなく、そのずっと前の最寄駅を降りた後です。
これは私たちスタッフにとって、「お客様」は店舗に買い物にくるお客様だけではなく、その店舗のオーナーさんや従業員の方も含まれる事を意味します。
たとえば、偶然同じ電車に店舗の従業員の方が乗り合わせていて、駅から降り立った際にカードスタッフが駅の決められた喫煙場所以外でタバコを吸って、そのまま道に捨てている状況をたまたま従業員の方が見掛けていて、マナーの悪い人がいるなぁとなんとなく心にひっかかり、いざ店舗に入店して仕事を始めると、カードスタッフ達の中にさきほどマナーの悪い人がスタッフジャンバーを着て顔はニコニコしておはようございますと挨拶してきたら、どうでしょう。違和感を感じる従業員さんがほとんどだと思います。そうすると、レジでのお会計の際に、従業員の方が気をきかして、本日あちらで入会キャンペーンをやっていますなどのちょっとしたお声掛けのご協力を頂く機会が減り、結果的に入会促進のキャンペーン自体が成功から遠ざかってしまうことにもなりかねません。
ですから、常に人からみられているという意識を持つことは大事です。
それにこの意識は副作用として、自分自身の見た目の輝きが増してくるという効用もあります。芸能人は常にいろいろな人に見られている為、更に美が磨かれていく効果があるようですが、それは一般的な私たちにも当てはまります。
つまりは意識次第で同様の効果を得ることが仕事を通じて可能であるということです。
場数を踏む事でしか成長はあり得ない
誰だって、お客様に断られ続けたら気持ちは落ち込みます。そこであきらめてしまうのも一つの選択肢ではあると思います。ただ、何か一つでも自分が達成できたと思う事や他人に評価された事があると、その後の人生において様々な苦難を乗り越えるときにその事がとても役に立ちます。
知っている事と判っていることは大きく違います。いくらお客様との接客方法を書籍や周りの先輩や上司に聞いて知っていたとしても、結果に結びつくとは限りません。むしろ知っているだけでは、成功に結びつく可能性は低いでしょう。
基本的な知識を蓄え、それを実際に目の前のお客様との会話の積み重ねの中で、自分自身の考え方の癖や、身体的な癖、口調、雰囲気等がリアルに目の前につきつけられ、リアルなお客様の反応の良し悪しが得られ、そしてそれに対しての振り返りを経て、小さな改善が行われ、次のお客様へと繋げていく、そうすることで、「わかる」という状態になり、成長していくのだと気づきます。